臨床開発の品質保証部門(CQA)のお仕事について紹介します。
- 未経験者採用:
- キャリアの幅:
- 平均的な年収:
CQAのお仕事紹介
CQA(クリニカルキューエー、シーキューエー)は臨床開発のお仕事のひとつです。会社によってGCP QA、品質保証部門、臨床監査と言われることもあります。
CQAは、臨床試験がICH-GCPや各国の規制要件に準拠して実施されていることを保証する役割を担います。監査、教育、手順書の整備、リスク管理、査察対応などを通じて、臨床試験全体の信頼性と倫理性を確保し、被験者の安全とデータの信頼性を守る重要な仕事です。
CQAは、臨床試験の全体を俯瞰し、品質とコンプライアンスの観点からリスクを評価・管理する役割を担います。試験の計画段階から関与し、リスクベースの監査計画を立案し、試験の進行に応じて品質の維持・向上を図ります。また、規制当局の査察に備えた準備や、査察時の対応をリードし、組織全体の品質文化の醸成にも貢献します。
実施医療機関、CRO、ベンダー、社内プロセスなどの監査を行い、GCP遵守状況を評価します。
臨床試験に関する標準業務手順書(SOP)の作成・改訂を行い、業務の一貫性と品質を確保します。
社内外の関係者に対してGCPや品質に関する教育を実施し、コンプライアンス意識の向上を図ります。
監査や査察で指摘された事項に対する是正・予防措置(CAPA)の立案・実施を支援します。
PMDAやFDAなどの規制当局による査察に備えた準備や、査察時の対応、指摘事項への対応を行います。
CQAが作成する成果物には以下のようなものがあります:
- 監査計画書・報告書:監査の計画と実施結果を記録し、是正措置の必要性を評価します。
- SOP(標準業務手順書):臨床試験に関する業務手順を定めた文書で、定期的な見直しと改訂が求められます。
- CAPA関連文書:是正・予防措置の計画と実施状況を記録し、効果の確認を行います。
- 査察対応資料:規制当局の査察に備えた準備資料や、査察時の対応記録、指摘事項への対応状況を記録します。
これらの文書は、臨床試験の品質とGCPに適合していることを証明する重要な証拠となります。
CQAに向いている人
GCP QAには、計画的に業務を進める段取り力と、予期せぬ事態にも柔軟に対応できる力が求められます。監査や査察の準備・対応においては、計画的なスケジュール管理と柔軟な対応力が重要です。また、監査や査察で指摘された事項に対する是正・予防措置の立案・実施においても、関係者との調整や効果的な対応が求められます。
これらの能力を活かして、GCP QAは臨床試験の品質を守る“品質の守護者”としての役割を果たします。
社内外の関係者との連携や教育に高いコミュニケーション能力が必要です。
クリニカルサイエンス、臨床開発、データマネジメント、薬事など、社内の多くの部門と連携しながら業務を進めます。また、CROやベンダー、規制当局など、社外の関係者とも密接に連携し、品質に関する情報の共有や監査対応を行います。これらの関係者との効果的なコミュニケーションを通じて、CQAは臨床試験の品質と信頼性を確保し、組織全体の品質意識を高める中心的役割を果たします。
以下のような資質が求められます。
注意深さと正確性:細部にわたる確認と正確な記録が求められる。
論理的思考力:品質問題の原因分析や是正措置の立案に必要。
規制要件の理解:GCPやICHガイドラインなどの法規制に関する知識。
英語力:グローバルな試験や規制当局とのやり取りに必要。
CQAになるには?
GCP QA職に就くためには、以下のような経験やスキルが求められます:
- 理系学部の学位:薬学、生命科学、看護学などの分野。
- 臨床開発業務の経験:CRAや臨床開発PMなどの経験があると望ましい。
- GCPやICHガイドラインに関する知識:品質保証業務に必要な法規制の理解。
- 監査や査察対応の経験:監査の計画・実施や査察対応の経験があると望ましい。
- 英語力:グローバルな試験や規制当局とのやり取りに必要。
また、CQA職は在宅勤務やフレックスタイム制度を導入している企業も多く、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。
CQAのキャリアプラン
CQAのキャリアパスには、以下のような選択肢があります
- シニアQAやQAマネージャーへの昇進:より高度な品質保証業務やチームのマネジメントを担当。
- 監査専門家(Quality Auditor)としてのキャリア:内部監査や外部監査の専門家として活躍。
- グローバルQAとしてのキャリア:海外の試験や規制当局との連携を担当。
- 品質マネジメントシステム(QMS)の構築・改善:組織全体の品質保証体制の強化を担当。
- 薬事や臨床開発部門へのキャリアチェンジ:品質保証の知識を活かして他部門で活躍。
これらのキャリアパスを通じて、GCP QAは臨床試験の品質を守るだけでなく、組織全体の品質文化を醸成する役割を果たします。
まとめ
CQAは、臨床試験における被験者の安全性とデータの信頼性を確保するための中核的な職種です。
監査、教育、手順整備、CAPA対応、そしてPMDAをはじめとする規制当局による査察(信頼性保証調査)への対応を主導する役割を通じて、組織の品質文化を支えています。
GCP QAは「現場で起こっていること」と「規制が求めること」のズレを敏感に察知し、社内外の関係者と連携しながら“品質という見えない価値”を仕組みで保証する仕事です。
そのため、実務に介入しすぎず、しかし本質を外さないバランス感覚やファシリテーション力が求められます。
近年はグローバルスタディの増加やRBM・DCTなどの試験革新に伴い、QAの役割も進化しています。柔軟で論理的、かつ全体を俯瞰できる人材にとっては、非常にやりがいのあるキャリア領域といえるでしょう。
